ねじゆるめ止め剤について
こんにちは、工具屋てっちゃんことファクトリーギアの澤山です。
お客さんから質問を受けました、
「ステンレスのねじでカーボンの雌ねじに使えるねじゆるめ止め剤ってありますか?」って・・・。
まずは、ねじゆるめ止め剤について
振動などで、ねじがゆるんでは困るところに使う嫌気性接着剤です。
でも、そのねじをゆるめる時もあるので、ゆるめたい時はゆるめる事が出来る弱いタイプの低強度のモノ、他にも中強度や、取外し出来ない高強度など種類もいろいろあります。
ねじのサイズで分ける場合もあります。
ここで注意したいのは「嫌気性接着剤」というところです。
空気を嫌うので嫌気性というのですが、なぜ嫌うかというと、空気はこのゆるみ止め剤が固まろうとするのを邪魔するのです。だから空気に触れているといつまでも固まりません。
ねじが密着して空気が遮断されると固まるのです。
ガラスを2枚、間に水を入れてくっ付けるとピタッとくっ付きますよね、あんなイメージです。
それと、このねじゆるめ止め剤は、金属からのイオンに反応してくっ付くんです。
だから、ステンレス、アルミ、メッキなどのねじには反応しないので鉄の時のような強度が出ないのです。
一般的にはステンレスは50%、メッキは70%しか強度が出ないと言われています。
お客さんからの質問
「カーボンとステンレスに使うねじゆるめ止め剤」ということですが、ここまでの説明ですと、金属でないカーボンと、くっ付きにくいステンレス、ということなので、一般的な金属用のねじゆるめ止め剤では、無理です。
でも、メーカーさんに聞いてみました。
方法が4つあります。
1)硬化促進剤を使う
ステンレスやメッキのねじにゆるめ止め剤を使う場合、早く固まる様に硬化促進剤を使います。
これは銅の成分が入っていて、これを雌ねじ側に付けて使うのですが、お客さんはカーボンの雌ねじとおっしゃっているので、この硬化促進剤をカーボンの雌ねじに塗って、ねじにゆるみ止め剤を塗って早く固まらせて使う方法があります。
ロックタイトの7649
ただ、これはやってみないとちゃんと固まるか?分かりませんとメーカーさんも言っていました。
2)樹脂ねじ用の接着剤を使う
樹脂のねじに使うゆるみ止め剤があります。
ねじは金属だけでなく樹脂もありますから、ちゃんとそれ用があるんです。
雌ねじが樹脂で雄ねじが金属の場合などにも使えます。
ロックタイトの425
また、これは完全にくっ付かず、ゆるめる事が出来るので低強度となります。
3)固まるスピードが遅い瞬間接着剤を使う
瞬間接着剤なのに固まるスピードが遅いってちょっとおかしいですが、固まるスピードが早いとねじを締めている途中で固まってしまうので、ねじを締め終わるまでは固まらない、固まるスピードが遅い瞬間接着剤があるんです。
ロックタイト480
このロックタイトの480は金属にもプラスチックにも樹脂にも使える接着剤です。
先ほどの425よりもしっかりくっ付くので、取外しはほぼ出来ないと思います。
4)2液性のエポキシボンドを使う
最後に、完全に固定するには2液性のエポキシボンドを使う方法です。
これは、もう完全に固定ですので、取外しは出来ません。
と、金属でないカーボンに、ゆるみ止め剤が効きにくいステンレスのねじを固定しようとするとこの4つの方法があります。
今回のお客さんからの質問で僕も勉強になりました。
ついでにメーカーさんに僕の質問もしてみました。
ねじゆるみ止め剤は液体の他にも色々あるけど何が違うんですか?
「一般的なねじゆるめ止め剤は液体です、でも、中にはジェルタイプやテープタイプ、スティックタイプとありますが、例えばジェルタイプの方が固まるのが早いとかあるんですか?」
って聞いてみました。
答えは、「全て一緒です、ただ垂れにくいとか使い易すくしているのです。」
という事でした、なんとなくジェルやスティックタイプの方が早く固まるのかと思っていましたが、一緒です!
また、多くの人が簡単にゆるめる方法はないですか?と思っていると思いますが、今のところありません。
熱を加えるか、力ずくでとるしか方法はありません、これも一応聞いてみましたがやっぱり答えは一緒でした。
そんなねじゆるめ止め剤、基本は金属用です。
金属以外の材質に使う時は、金属に使った時と同じ効果はえられないと思って下さいね。