今回は、2024年度に車検で義務化されるOBD検査で使われる外部故障診断装置(以下スキャンツール)について、ファクトリーギアがおすすめするスキャンツールをご紹介いたします。

国土交通省のスキャンツール導入補助事業について

導入補助申請については自動車整備に携わる方は既にご存知の方も多いかと思われますが、現在自動車整備事業者を対象としたスキャンツールの導入補助申請がこの9月から公募を開始しています。

※国土交通省による案内の詳細はこちらから※

既に電子制御装置の認証を受けている整備事業場か今後認証を申請する整備事業かで申請方法などの細かい違いがございますが、今回の導入補助申請では一定の要件を満たすスキャンツールを新たに購入する場合に、経費の一部を補助(購入価格の1/3以内、1事業場あたりの補助上限額は15万円)するものとなっております。

OBD検査について

自動車技術等の電子装置(エアバッグ、衝突被害軽減ブレーキなど)の監視用に搭載された車載式診断装置(OBD)を利用した自動車検査の一つで、2024年10月以降、車検の際にOBD検査対象となる車両については通常の検査項目に加えてOBD検査を実施する必要があります。

※検査の対象となる国産車は2021年10月1日以降の新型車、輸入車は2022年10月1日以降の新型車。

現在はこの検査を整備事業者などが本格運用前に慣れておく期間でもあり、これまでにも国交省で補助申請の受付が行われてきましたが、昨年度は申請多数により公募予算額を超え抽選となったため今年度は予算が大幅に増えています。

つまり今、高価なスキャンツールを準備し来年度のOBD検査に備えるのにうってつけのタイミングなのです。

おすすめスキャンツール

スキャンツールもシンプルなものから多機能な物まで様々ですが、大前提として上記の導入補助申請に対して対象となる物(認定を取得したスキャンツール)が検査には必須となります。

その中で様々なスキャンツールが販売されているので、特にどのようなモデルを選ぶかにおいて主にチェックしておきたいポイントは

・本体の機能(対応メーカーや車種、OBD検査以外の診断機能等)
・導入補助申請での購入パッケージ

上記が挙げられます。

単純に対応車種が多いモデルや多機能なモデルは1台で対応できる事が増えますがその分高価になります。(データの更新にかかる費用も異なってきます)。動作環境についても内蔵されるOSや容量でも細かくスペックが変わり、こちらもハイスペックになると高価になります。

またスキャンツールの多くはOBD検査を行うための周辺ツールとセット仕様で販売されており、導入補助申請でもその仕様が指定されているので注意が必要です。

 

おすすめスキャンツール ツールプラネット TPM-5

対応メーカー(2023年5月時点):国産乗用車8メーカー、国産トラック・バス4メーカー、輸入乗用車7メーカー
車両との接続方式:有線接続
通信方式:Bluetooth
OBD診断以外に可能な作業:エーミング、DTP

ツールプラネット製の主力となるスキャンツールです。海外自動車メーカーの対応車種が多い「TPM-7」もありますが、TPM-5も国内自動車メーカーを同等にカバーしており相対的に安価なので、国産車のみを扱う場合なら問題なくお使いいただけます。
また後述する他社製のスキャンツールと同等の機能で比較した場合も比較的安価ということもあり、補助金でカバーしやすいモデルともいえます。

なお、

 

・他メーカーよりも低価格だが遜色のないスペックを持っており補助金でまかないやすい。

・メーカーの主力はTPM-5。だがTPM-7はポルシェ、マセラティといった海外車種にも対応していることと、モニターを外部出力可能で車内の教育研修等で作業の方法を共有することもできる。

③オーテル MaxiSys 906Pro

④オーテル MaxiSys 909

☆⑤オーテル MaxiSys 919

⑥オーテル MaxiSys Ultra + MaxiVCI V200

 

対応メーカー():
車両との接続方式:
通信方式:
OBD診断以外に可能な作業:

オーテル製のスキャンツールには「MaxiVCI V200」というOBD検査用スキャンツールが単独で販売されおり、こちらとWindowsのOSが搭載されたパソコンと接続することで検査を行うことが可能ですが、様々な診断機能を持つMaxiSysシリーズと一緒に準備することで現場の検査環境を整えることができます。

ご紹介しているMaxiSys 909も単独ではOBD検査に必要な、

・オーテルは全般的に海外車の対応に強い。BMWにも対応()。

・日産のセキュリティーゲートウェイにも対応し、これのアクセス権を持つことでエーミング作業なども行える。

 

⑦G-SCAN Z エントリー GZEJ01

⑧G-SCAN Z スタンダード GZSJ01

⑨G-SCAN Z Tab エントリー ZT-J02E-N 

⑩G-SCAN Z Tab スタンダード ZT-J02S-N

☆⑪G-SCAN Z Tab エントリー ZT-J03E

⑫G-SCAN Z Tab スタンダード ZT-J03S

・安価なものは基本的にOBD検査のみだが、価格帯が上がると基本スペックやOBD検査以外で使える機能が増える(例えばネットワーク環境やカメラ機能など)。

・(エントリーとスタンダードの違い)主な違いは車体側と繋ぐ際のカプラー(コネクタ?)の数で、スタンダードならあらゆるカプラーに対応しているが、直近の車種のみを扱う場合はカプラーそのものが共通化しているのでエントリーで充分に対応可能とのこと。

・(ZとZ TABの違い)主な違いは搭載されているOSと通信環境。ZはOSがAndroidで作動、Z TABはWindowsで作動する。特定DTC照会アプリ(OBD検査に必要なアプリ)はWindows上で作動するため、Z TABは単独で検査に用いる事ができるが、ZはWindowsを搭載しアプリを使用できる端末と接続することが前提となる。

・Z Tabは本体容量でも細かく区分されている。